Power BI Desktopの基本と環境構築|Dashboard作成の第一歩

財務DX / Power BI Dashboard作成シリーズ Vol.2

目次

はじめに

前回のVol.1 記事では、Power BIを活用した財務KPI Dashboardの完成イメージをご紹介しました。

Power BIを導入すれば、毎月繰り返しているレポート作成業務を効率化できるだけでなく、財務担当者が「レポートを作る人」から「数字を分析し、経営判断を支援する人」へと役割を広げていけます。

このシリーズでは、完成形のDashboardを一気に作るのではなく、基礎から少しずつ積み上げていく形で進めます。その第一歩として、今回はPower BI Desktopをインストールし、基本的な画面構成を確認していきます。Power BI Desktopは無料で使えるツールなので、まずは気軽に環境を整えてみましょう。

すでにPower BIを使ったことがある方へ
インストールや画面構成については、インターネット上に詳しい解説記事が多数公開されています。操作に慣れている方は、この記事の後半にある「このシリーズで作成するDashboard」まで読み飛ばしていただいて構いません。

本シリーズでは、Power BIの操作方法だけでなく、財務・経営管理で利用するKPIをどのように計算し、Dashboardでどのように可視化するかまで段階的に学んでいきます。

Power BIを始めるなら、まず覚えたい2つ

Power BIを調べ始めると、「Power BI Desktop」「Power BI Service」「Power BI Pro」など、似たような名称が次々と出てきて、戸惑う方も多いのではないでしょうか。

ですが、Power BIを使い始める段階で、まず押さえておきたいのは次の2つだけです。

名称役割
Power BI DesktopDashboardを作成するWindowsアプリ(無料)
Power BI ServiceDashboardをクラウド上で共有・管理するサービス

Power BI Desktopは、データの取り込みから加工、グラフ作成、Dashboard作成までを一通り行えるアプリケーションです。

一方、Power BI Serviceは、作成したDashboardを組織内で共有したり、データを定期的に更新したりするためのクラウドサービスです。

このシリーズでは、Vol.8まではPower BI Desktopのみを使用します。Power BI Serviceを使った共有や運用については、Vol.9でまとめて解説する予定です。

Power BI Proについて
Power BI Proは、Power BI Serviceを利用するためのライセンスです。このシリーズでは後半で必要に応じて解説しますので、現時点では気にしなくて大丈夫です。

Power BI Desktopは無料で利用できる

Power BI Desktopは無料で利用できます。個人での学習や、Dashboard作成の練習であれば無料版で十分です。
このシリーズでは、以下の無料機能を使用する予定です。

  • ExcelやCSVデータの取り込み
  • Power Queryによるデータ加工
  • DAXを使ったKPI計算
  • グラフやDashboardの作成

作成したDashboardを組織内で共有したり、定期的に自動更新したりする段階になると、有料のPower BI Proなどのライセンスが必要になります。

まずは無料版でPower BIに慣れ、有料ライセンスの導入はその後から検討しても遅くありません。

Power BI Desktopをインストールする

Power BI Desktopは、Microsoftから無料で提供されています。入手方法は次の2つです。

  1. Microsoft Storeからインストールする
  2. Microsoft公式サイトから、インストーラーを直接ダウンロードする

どちらでも最新版のPower BI Desktopが手に入りますが、Microsoft Store版は自動更新されるため、毎月のように行われる機能更新を手動で追いかける必要がありません。特別な理由がなければ、Microsoft Store版を選んでおくと後々の管理が楽になります(社内のセキュリティポリシーでStoreが使えない場合は、公式サイトからのダウンロードを選んでください)。

Microsoft公式サイト:Microsoft Power BI Desktopをダウンロードする

インストーラーを実行し、画面の案内に従って進めていけば完了です。特別な設定は必要なく、基本的には既定の設定のままで問題ありません。

インストールが終わったら、早速Power BI Desktopを起動してみましょう。

初回起動時の画面

Power BI Desktopを初めて起動すると、以下のスタート画面が表示されます。

Microsoftアカウントへのサインインを求められる場合がありますが、このシリーズを進める範囲では現時点では必須ではありません。

Power BI Serviceを使ってDashboardを共有する段階になればサインインが必要になりますが、学習目的でPower BI Desktopを使うだけであれば、後から設定しても支障はありません。

まずは起動を確認するだけで十分です。次の回からデータを読み込んでいきます。

Power BI Desktopの画面構成

起動すると、見慣れないボタンやメニューがたくさん並んでいて、少し身構えてしまうかもしれません。ただ、最初の段階では画面全体のざっくりした構成を知っておくだけで十分です。

Power BI Desktopのメイン画面の各パーツの名称と役割は以下の通りです。バージョンによっては表示される画面が多少異なる場合がありますが、基本的な操作に違いはありません。

❶ リボン(Ribbon)
画面上部のメニューバーです。「ホーム」「挿入」「モデリング」「表示」など複数のタブに分かれており、データの取得・グラフの追加・DAX計算など、Power BIのほぼすべての操作をここから行います。Excelのリボンと同じ感覚で使えます。

❷ レポートビュー(Report View)
Dashboardを作成・デザインするためのビューです。このシリーズで最もよく使う画面で、クリックすると❺のキャンバスに作成されたグラフやKPIカードなどが表示されます。

❸ テーブルビュー(Table View)
読み込んだデータを表形式で確認できるビューです。Excelのワークシートに近いイメージで、データの中身や型(数値・日付・テキストなど)を確認するときに使います。

❹ モデルビュー(Model View)
複数テーブルの関係性(リレーションシップ)を設定・確認するビューです。たとえば「売上テーブル」と「商品マスタ」をどの列で紐付けるかをここで設定します。このシリーズではVol.4で詳しく解説します。

❺ レポートキャンバス(Report Canvas)
Dashboardを組み立てるメイン作業エリアです。グラフ・KPIカード・スライサーなどのビジュアルをここに配置していきます。データを読み込むと、このエリアに実際のグラフが表示されます。

❻ フィルター(Filters)
表示するデータを絞り込むためのパネルです。「このページだけ」または「レポート全体」に適用するフィルターを設定できます。スライサーと似た機能ですが、こちらはレポート編集者向けの設定です。Dashboard閲覧者向けの絞り込みにはスライサーを使うのが一般的です。

❼ 視覚化(Visualizations)
グラフや表の種類を選ぶパネルです。棒グラフ・折れ線グラフ・KPIカード・ドーナツチャートなど、多数のビジュアルタイプが並んでいます。使いたいビジュアルをクリックするとキャンバスに追加され、下部の「値」欄にデータをドラッグして内容を設定します。

❽ データ(Data)
読み込んだテーブルや列が一覧表示されるパネルです。ここに表示された列を、視覚化パネルの「値」欄にドラッグ&ドロップするだけでグラフが作成できます。Excelで言えば「フィールドリスト」に相当します。

「DAX クエリ ビュー」、「TMSL ビュー」について
画面の左側には、「DAX クエリ ビュー」と「TMSL ビュー」もありますが、このシリーズでは使用しません。

このシリーズで作成するDashboard

今回の作業ではまだDashboardは作りませんが、今後の回では、この画面を使ってVol.1でご紹介した財務KPI Dashboardを一つずつ組み上げていきます。

具体的には、

  1. Power Queryでデータを整える
  2. 経営・財務KPIを計算する
  3. グラフやKPIカードを作成する
  4. スライサーを追加する
  5. Dashboard全体をデザインする

という流れで進めます。それぞれのステップは、順番に進めれば必ずできます。基礎から順番に積み上げていけば、Power BIを初めて触る方でも、自分の手でDashboardを作れるようになります。

なお、Vol.5(DAXの基本)からは、営業利益率や在庫回転率といった財務・経営管理で実際に使われる指標を計算しながら進めていきます。「Power BIの一般的な操作」だけでなく「その指標を財務担当者がどう読むか」まで踏み込んでいくのが、本シリーズの特徴です。

まとめ

今回は、Power BI Dashboard作成の準備として、Power BI Desktopのインストールと基本的な画面構成をご紹介しました。

Power BI Desktopは無料で利用できるため、財務・経営管理業務で必要となるDashboard作成機能を一通り備えています。

このシリーズで目指しているのは、Power BIの操作方法を覚えることだけではありません。財務担当者がデータを分析し、経営の意思決定を支援できるスキルを身につけることです。


次回は、Power Queryを使ってサンプルデータを取り込み、Dashboard作成の土台となるデータを整えていきます。


よくある質問(FAQ)

1. Power BI DesktopはMacでも利用できますか?

Power BI DesktopはWindows向けのアプリケーションです。Macをご利用の場合は、Windows環境を用意するか、仮想環境などを利用する必要があります。

2. Microsoftアカウントは必要ですか?

Power BI Desktopで学習やDashboard作成を行うだけであれば必須ではありません。
Power BI ServiceでDashboardを共有する際にはサインインが必要になりますので、今後レポートを共有する予定のある方は、Microsoftアカウントを作ることをおすすめします。

3. Microsoft Store版とダウンロード版はどちらがおすすめですか?

個人で学習する場合はどちらでも操作に大きな差はありません。
Microsoft Store版は自動更新が利用できるため、機能更新のたびに手動でインストーラーを取り直す必要がなく、管理がしやすいというメリットがあります。
一方、ダウンロード版(インストーラー版)は、組織のセキュリティポリシーでStoreが使えない環境や、特定のバージョンを使い続けたい場合に向いています。
特に理由がなければ、Microsoft Store版を選んでおくのが無難です。

4. Power BI Desktopの表示言語は変更できますか?

はい。Power BI Desktopでは表示言語を変更できます。
日本語から英語に変更されたい方は以下の手順に沿って言語を変更してみてください。
1.Power BI Desktop上部の「File(ファイル)」をクリック
2.「Options and settings(オプションと設定)」→「Options(オプション)」
3.「Regional Settings(地域の設定)」→「Application language(アプリの言語)」を「English」に変更
4.Power BI Desktopを再起動

5. 財務指標を使った解説はいつから始まりますか?

Vol.4(カレンダーテーブルとリレーション設定)でDashboard作成の土台を整え、Vol.5(DAXの基本)から、前年同期比などの財務・経営管理向けの指標を実際に計算しながら解説していきます。Vol.2〜3は、その土台となるPower BIの基本操作とデータ準備にあたります。

目次